前回の記事で以下の点をお伝えしましたが、本記事では下記の内容をもう少々深掘りしていきたいと思います。
・カスタマーサクセスとはユーザの心理ロイヤリティを醸成するための戦略
・「Customer Success = Customer Experience + Customer Outcome」、要するに、カスタマーサクセスとは「Customer Outcome (結果)」とその結果を得るための「Customer Experience(体験)」を最大にすることが重要
結果(Outcome)だけでなく、体験(Experience)が大切な理由
結論からとなりますが、カスタマーサクセスという戦略を進める(ユーザの心理ロイヤリティを醸成する)ためには、ユーザに対して「最大の結果」を提供するのはもちろんですが、結果を得るまでの「体験を最高」にする事が重要です。
結果とは、その製品を購入・利用して得られるメリットや成果の事を指します。
ビールを購入したのであれば喉を潤す・味を楽しむという結果、洋服を購入したのであればその服を着るという結果を指します。
結果の重要性は言わずもがなだと思っています。ベンダーはユーザに選択してもらう為、美味しいビールを作ったり、おしゃれな洋服を作ったりと、より良い結果を提供できるよう、常に企業努力を続けていると思います。
では体験とは何でしょうか?こちらは少々分かり難いのですが、結果を得られるまで経験する内容全般を指します。
例えばビールの購入に焦点を当てると、①お店に入る、②店員さんに挨拶される、③お店でビールを探す、④お会計をする、⑤お店をでる といった様々な体験をします。洋服の購入も同じような体験ですね。
この体験価値こそが、心理ロイヤリティを醸成させる為に非常に重要なポイントとなります。
例えば「ちょろりエール」という同じビールを購入し美味しく頂いたとしても、以下の様な経験をした場合、またそのお店で商品を買おうと思うでしょうか?
- 入店時挨拶が全くない(ほぼ無視される)
- 店内を探すものの「ちょろりエール」が全然見つからない。店員に聞いてもすぐ場所がわからない。
- やっと見つかった「ちょろりエール」が冷えてない。
- レジで会計後、退店時もありがとうございますといった挨拶なし
・・・たぶん、家に帰ってお酒を飲みながら「もう二度と行かない!」となりますよね。。。
逆に以下の様な経験をしたらどう思いますか?
- 入店時に心地の良い挨拶をされる(もちろん、店員さんは笑顔)
- どこにどの商品が置いてあるか分かりやすく、すぐに「ちょろりエール」が見つかる。
- キンッキンに冷えてる
- レジで会計後、心地よく「ありがとうございました!」と挨拶をしてもらえる
おそらく、「良いお店だな、またお酒買いに行こうかな」となりますよね!これが体験価値の重要性となります。何となくイメージが湧きましたでしょうか。
この様に、心理ロイヤリティを醸成するには、結果はもちろん、結果を得るまでの体験価値をいかに良くするかが非常に重要になります。
企業活動における体験価値の提供方法
上記の内容だけだと「接客をよくすれば良いの?」となりがちですが、そうではありません。
ビールの場合ですと飲み方、洋服の場合は洋服の着方は、みんな知っているので購入後のフォローはそこまで必要ありません。しかしながら通常の企業活動で購入する製品、特に初めて購入する様なIT系の製品群は使い方なんて殆どわかりません。購入した後に様々な“体験”を通して初めて結果を得る事が可能となります。
その為、購入前・後 に関わらず、結果を得るまでの”体験”全てを最高なものにする事が心理ロイヤリティの醸成に当たって非常に重要となります。
そして鋭い方はもお気づきかもしれませんが、製品購入後の”体験”が非常に重要なポイントとなります。
前回の記事でお伝えした通り、企業はこれまで購入後のサポートは”ランニングコスト”と捉えており、結果として製品購入後の”体験“にはそこまで(戦略的に)力を入れていませんでした。しかしながら、サブスクリプション時代を勝ち抜く戦略としてカスタマーサクセスを行う為には、製品購入後の”体験“を最高にする為のサポートが非常に重要になります。
要するに購入後にユーザへ最高の体験を提供する為、購入後サポートに対する考え方を「ランニングコスト」から「投資」に切り替える必要があります。
ここまでのまとめ
ここまでの内容で、以下の内容はご理解いただいたのかなと思います。
- サブスクリプション時代では力関係が「売り手<買い手」であり、選択権はユーザにある
- ユーザに利用(選択)し続けてもらうには「心理ロイヤリティの醸成」が必要である
- 心理ロイヤリティの醸成を行う為の戦略が「カスタマーサクセス」である
- カスタマーサクセス とは「最大の結果」と「結果を得るまでの体験」によって決定される
- これまでコストと捉えていた、「購入後の体験サポートを投資」と捉える必要がある
では、購入後の体験を最高にする為にどの様なことを企業はすべきなのか。こちらは次回の記事で考えていきたいと思います!